書籍名: 筑後戦国史
著 者: 吉永正春
出版社: 葦書房
主人公: 蒲池氏、大友氏、龍造寺氏、筑後諸豪族
坂上広野さん
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HP:蒲池氏の歴史と史蹟
九州戦国史は、大友、龍造寺、島津の代表三氏に代表されますが、九州をめぐる戦いにおいて、地理的にもっとも重要な往路的位置にあったのが筑後国でした。筑後の戦国史はこれまであまり言及される機会はなかったと思われます。本書は、一般向きの図書において、戦国時代の筑後についてふれた数少ないものです。しかも筑後の代表的な大名だった蒲池氏についても多くのページを割いています。蒲池氏は、九州においては、大友、龍造寺、島津に次ぐ勢力を持ち、九州随一といわれた難攻不落の柳川城主でした。一般向きの『戦国九州軍記』(学研)は、蒲池氏については言及していないという資料としての致命的欠点を見せており、また光栄の有名な「信長の野望」も、いつものように細部の未調査ぶりを示し、蒲池氏を国人土豪並と位置づける資料的誤謬を犯しています。そのような中で、本書は、著者の立場や解釈を別とすれば、筑後と蒲池氏に触れた数少ない貴重な一般向き図書といえましょう。
「大友軍中に、いつの頃か『柳川三年肥後三月、肥前・筑前朝飯前」という戯れ歌がはやった。
当時の柳川は大友氏の支配下にあり、城主は蒲池近江守鑑盛であった。歌は、柳川城の堅城ぶりをたとえたもので、柳川攻略には三年かかるという意味。無数の水路が入りこむ柳川城は自然の要害をなし、難攻不落といわれていた。近世に入って、この柳川の町づくりをしたのは立花宗茂、田中吉政の二大名であるが、その基礎を築いたのは蒲池氏である。現在、女性人気歌手の松田聖子(本名蒲池法子)さんは、この蒲池氏の後裔という。」(同書冒頭箇所より)